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トレンドレポート

2025.11.28

ビジネスを“推し化”する!「応援される」ために欠かせない3要素とは

「推し活」を制する者はビジネスを制する・第2回

推し活は、今や一部のファン活動にとどまらず、生活者の感情や行動に深く根差した社会的トレンドとなっています。第1回では、推し活とは何か、市場規模や生活者の広がりについて紹介しました。
第2回では、推される存在になることで生まれる自発的な支援の仕組みや、推し活ビジネスに不可欠な3つの要素をひも解きます。

推し活ビジネスアドバイザー
瀬町奈々美氏

推し活ビジネスアドバイザー
瀬町奈々美氏

立教大学経営学部在学中から、吉本興業とのコラボイベント、WEリーグ(日本女子サッカー)決勝大会の場外イベントなど、「推し」にかかわる多くの活動を成功に導く。

著書に『推し活経済 新しいマーケティングのかたち』(リチェンジ)。

推される存在になれば、支援者が自主的に盛り立ててくれる

第1回で述べた通り、推し活の特徴は「自発的な行動」です。推し活をする人々は、自ら率先して人やモノ、企業を応援します。推される存在になった対象は、次の3つの大きなメリットを得ることができます。ここでは、イオングループを例に考えてみましょう。

①社外広報の効用
SNSや口コミを通じて、「イオンであの商品が売っているよ」「こんなイベントがあるよ」といった情報を積極的に発信してくれる。
推し活をする人は、損得では動きません。行動基準は、対象のためになるかどうか。そして、自分がポジティブな気持ちになれるかどうかです。損得抜きで応援し、自発的に支援してくれるファンを持つ。ビジネスにとって、これほどありがたい存在はないはずです。

②企画者としての効用
「○○の棚はもっと低い位置がいい」「PBでこんな商品を扱ってほしい」など、買いたくなる売り方や、欲しい商品のヒントを提供してくれる。

③改善点を指摘される効用
商品や店舗運営に関して、クレームではなく「こうするともっと良くなる」という建設的な視点で意見を伝えてくれる。特に情緒的価値を重視するZ世代は、不快な思いをすれば黙って去り、二度と戻ってくることはありません。そうした中で、耳の痛いことを愛情を持って伝えてくれるサポーターの存在は、企業にとって非常に貴重です。

推しビジネスの成功事例としては、以下があります。

●ヤッホーブルーイング「よなよなの里」

よなよなエールの公式サイト「よなよなの里」では、公式ビアレストラン、組み合わせ自由のビールセットなど、クラフトビールの「推し化」を積極展開している。2010年に参加者40人でスタートした飲み会イベントは、2018年には5,000人の規模に。

●カゴメ「&KAGOME」

新商品の企画やファン同士の交流ができる「みんなとカゴメで作るコミュニティ」。会員数は約7万人。 「お客さまからのダイレクトな声が届くことが励みになる」と、社員からの評価も高い。

●キャンドゥ 「推し活グッズ」

応援うちわの制作グッズ、ぬいぐるみコスチュームやキーホルダーなど、推し活グッズを網羅している。ネットショップの商品も充実しており、推し活をサポートしてくれる。

●トップバリュ 「いいね大賞2025」

従業員による「買ってよかった商品」の総選挙。Z世代からベテラン世代まで、年齢層ごとにおすすめポイントや活用術を提案している。お客さまの口コミを反映させるなど、より「推し化」を進める余地がありそう。

推し活ビジネスに不可欠な3つの要素とは

自社が推される存在になるためには、いくつか押さえるべき点があります。

まずは誠実さ。推し活には、「推しをやめる瞬間」が訪れることがあります。それは、相手の誠実さを感じられなくなった時。推し活をする人は、お互いに対等な関係でありたいと考えています。特典内容に対して支払う額が高すぎるなど、言いなりにお金を落とすカモにされたと感じた瞬間、見下されたと感じた瞬間に、推しへの愛は冷めるのです。

メッセージ性の統一も大切です。例えば、ジェンダーレスなコスメの店なのに、店員は女性だけ。そのようにブランド全体のメッセージが一貫せず、世界観が崩れると、お客さまは愛情を持つ以前に「思っていたのと違う」と興味を失ってしまうでしょう。

そして「ユーザーが自ら作るコンテンツ」(User Generated Contents)のしくみを持つこと。サイトに直接メッセージを書き込めるなど、「私も関わっている」という意識を持ってもらう。一方通行の情報ではなく、消費者が自ら行動を起こせるしくみを持つことで、推される存在への種まきをしておくのです。

「推し化」に大切なのは、双方向性です。提供した企画にお客さまが反応し、新たなアクションを起こす。すると企画が練り上げられ、より楽しめる体験になっていく。そういう循環が理想的です。

 

※本記事は、イオングループ内マーケティングレポート「イオンのアンテナ」をもとに抜粋・再構成したものです。